災害時のBCP対策
近年、気候変動を主要因として激甚化・多頻度化する自然災害は鉄道ネットワークにも大きな影響を及ぼしています。
当社では、モーダルコンビネーションの推進により持続可能な物流の実現に取り組む一方で、ネットワークが寸断された際にも、お客様からお預かりした貨物を目的地まで確実に届け、「物流を止めない」という使命を果たすため、災害時のBCP対策に取り組んでいます。
代替輸送の実施
JR貨物では自然災害等の影響により、万が一貨物列車の運行が不可能となった場合など、利用運送事業者と連携し、コンテナを最寄の貨物駅で取り卸すなどして代替輸送を実施いたします。
また、長期間、線路が不通になる場合には、不通区間を迂回する列車を運転することにより貨物の輸送ルートを確保いたします。
安定輸送に向けた激甚災害への備えとBCP対策の強化
■貨物船「扇望丸」の共同保有等による迅速な代行輸送の実施
当社は、センコーグループホールディングス(GHD)と共同で、総トン数499トン型貨物船「扇望丸」を新造し、2024年8月に就航しました。この船は、平常時はセンコーGHDが顧客の原料・資材輸送専用船として運航し、災害発生時に貨物鉄道ネットワークが寸断された際には、当社が実施する災害代行輸送に使用することとしています。本船の就航により、災害発生時の代行輸送に迅速に対応できる体制を確立し、安心・安全な物流サービスを提供します。
■代行拠点駅の整備
自然災害で鉄道ネットワークが寸断された際、う回ルートの設定が難しい山陽線をターゲットとして、トラック代行の実施に備えた拠点駅の整備を進めます。その第一歩として、2018年の「平成30年豪雨」や2021年8月の大雨災害でも代行拠点駅となった新南陽駅において、コンテナホーム拡張や代行トラック駐車場の整備を実施することで駅の能力向上を図ります。また、官民一体となった協議会を設置し、貨物駅周辺における特殊車両通行許可制度や内航海運活用時の接岸バースに関する事前調整も進めてまいります。
■機関車運用可能範囲の拡大
平時は東北線を走行するEH500形式(交流・直流両用)の一部について、異常時に日本海縦貫線・上越線を走行出来るよう、出力装置改造等の走行対応化工事を実施。東北線寸断時に、北海道・東北方面と関東・関西方面を結ぶ「う回列車」を迅速に設定出来る等、北の大動脈におけるバックアップ体制強化を図っています。
■東北線被災時の日本海縦貫線う回列車運転イメージ